開発者(私)が一部の紫外線吸収剤にかぶれるため、紫外線吸収剤を配合しない紫外線防御剤を創りたかった。紫外線吸収剤を配合しないでSPF値を上げるためには粉体で散乱させる事になるが、当然塗布部は白くなる。白くならないような酸化チタン・酸化亜鉛などの微粒子粉体を探す必要がある。 次にウォータープルーフにするためには、揮発性環状シリコンを多用しなければならないが、ウォータープルーフにすると、今度は落としにくくなり、肌にとってはありがたくないクレンジング方法をとらなければならなくなる。 またこれらの微粒子粉体をシリコンオイルに均一に分散させるにはPG,BGの配合が避けられないが、これらはけっこう刺激があるので、それに代わるものを探さなくてはいけない。 それらを解決し、しかも使い心地のよい刺激のほとんどない紫外線防御化粧品を創ろうと試みた。 微粒子の酸化チタン、酸化亜鉛をベースに、白くならない配合比を探し、シリコンオイルの種類と配合比を細かく検討することで、ウォータープルーフでありながら、落としやすく、サラッとした感触のクリーム基剤が得られた。 PG,BGに変わるポリオールはDPG(PGが2つ重合したもの)を選んだ。最近のDPGはきちっと重合していて外れないので安心できる。 最後は塗布後の皮膜が強からず弱からずという微妙な配合比に調節する事に苦心したが、落としやすく、安全性の高い、さらりとした紫外線防御剤はほぼ完成した。 さて、紫外線を物理的にカットするだけでよいのだろうか。日傘や帽子の役割だけでは不満。なぜ日光紫外線が肌に悪いのか。これは皮膚細胞のDNAにキズをつける(皮膚癌の原因)だけではなく、皮膚の表面や内部に活性酸素を作る(老化の原因)からだが、それならその対策として、信頼できるビタミンCとビタミンEで、活性酸素を消去し、老化予防が出来ればなお善い。最近の学会の報告によると、ビタミンCとビタミンEはそれ自体が抗酸化剤として働くだけではなく、皮膚細胞の抗酸化力をシステムで強化することが報告され、しかもCとEが同時に存在するとなお協力に働くと結論づけているので両者を配合しない手はない。その上に炎症を抑えられたらもっと善いと考え、グリチルリチンも配合した。 これで充分気に入った紫外線防御剤 UVDFが完成です。 |
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