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三谷てるみの「美肌学」
● 第3回 シミのABC
 シミのタイブを見極めましょう
敵もさるもの、シミには消えやすいもの・薄くなりにくいもの・シミに見えて本当は違うものなど、最初の見極めが難しく、間違ったケアをしがちです。ケアを間違えると、かえって濃くしたり増やしてしまうことも。ご自分で判断がつかない場合は、皮膚科専門医の診断をあおいでください。


Aおもに紫外線が原因のシミ
< 肝斑(かんばん)>
 症状:比較的境界が鮮明で、面積をもったシミ。明るい茶色(レバー色)をしていることからこの名で呼ばれます。表面は、他の部分の皮膚と変わらず、鼻をはさんで左右対称に出るのが特徴です。一般に小麦色の肌の方・頬骨の張った方に出やすく、20代後半から見られ、閉経後は段々薄くなるようです。
 原因:顔面の光の当たる部位に発症することから、紫外線が誘因と考えられ、妊娠中やピルを服用中にもできやすいことから女性ホルモンとの関係も指摘されています。
 治療:肝斑を完全に消すことができたという臨床例もあり、個人差はありますが、肝斑なら薄くできることだけは確かです。 皮膚科での治療なら、メラニン色素がつくられるのを阻止するどタミンCとEの併用や漢方の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、最近ではトラネキサム酸の効果が認められています。

< 雀卵斑(そばかす)>
 症状:点状の細かく小さな色素斑で、散在的に多発します。色調は濃淡さまざまで、肝斑のように均−ではありません。日本人としては色白の皮膚を持つ家系の人に多く、早い人では幼児期から出はじめます。
 原因:遺伝的要素が強いといわれますが、∪VAによって悪化する傾向があります。
 治療:皮膚科でも、雀卵斑は局所のメラニン生成過剰なので、まず遮光を徹底指導されます。そしてメラニンを減らすために、ビタミンCとEを同時に内服し、場合によってはレーザー治療も行われています。

< 老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)>
 症状:境界がはっきりした茶色または黒色のシミで、多くの場合、左右非対称です。男女ともに発症し、顔に限らず手の甲にもよく見られます。男性では頭髪が短いため、頭皮にも見られます。
 原因:老人性だなんて何とも嫌な名前ですが、早い人では25歳位から発症するので、学会では「光線性色素斑」と呼ぶべきだという指摘があるほど、紫外線が最たる原因のシミです。その上に皮膚の老化が拍車をかけて多発するものです。
 治療:いちばん消えにくいシミが、この老人性色素斑です。ただ、化粧品の美白成分でずいぶん薄くなった例もありますし、皮膚科ではレーザー治療を積極的に行っているところもあります。まずは紫外線が最大の原因ですから、遮光が徹底指導されます。

Bかぶれなど、炎症が原因のシミ
< 炎症後の色素沈着 >
 症状:湿疹やかぶれ、ニキビや傷の後が、茶色に変化したもの。また、皮膚に力がかかってできる色素沈着もあります(ナイロンタオル黒皮症や下着のすれる部分にできる色素沈着など。)
 原因:化粧品かぶれや皮膚炎を起こしたり、摩擦などで、肌の弱い人は色素が沈着してシミになります。
 治療:この種の色素沈着の治癒は何年もかかりますが、ほとんどが消えるものです。
  まずは湿疹を長びかせないよう、再発させないように治療や体質改善に専念ことが先決です。かぶれや皮膚炎を起こした原因を、病院のパッチテストなどでつきとめておき、原因となった成分を含む化粧品は今後使わないなど注意が必要です。

C先天性の、シミに見えてそうでないもの
< 太田母斑 >
 症状:額や頬,目の周囲の片側、ときに両側にあらわれるもので、シミではなく「あざ」です。生まれた時になくても、2〜3歳や思春期、遅い人で20歳以降に生じる場合もありますからシミと思いやすいのですが、色で見極めてください。太田母斑は青または紫色なのが特徴です。
 原因:先天性のものです。
 治療:太田母斑はレ−ザ−治療が可能で、根気よく数回治療を重ねていくことで徐々に薄くしていくことができます。

シミのタイプ別予防とケア
A(おもに紫外線が原因のシミ)
 ・皮膚科でも紫外線防御剤(サンスクリーン剤)などの使用をすすめ、ともかく日光にあたらないように指導され ます。紫外線のブロックは心掛けひとつでできることですから、最大の予防兼ケアと心得て、季節を問わず徹 底しましょう。住まいの中で過ごす時でも紫外線はどんどん入ってきますから、メイクをしない時でも必ずファン デーションとパウダーまではつける、そんな習慣でずいぶん違ってきます。
 ・シミの治療といえばビタミンCの内服を処方されるほど、シミヘの効果は群を抜いています。ちなみに皮膚科 で処方されるビタミンCは、1日1g以上。これはレモン50個分以上に相当します。 ビタミンCはストレスや喫 煙で大量に消費されますし、体内に蓄積しておくことができません。一度に必要以上摂っても排泄されてしま うだけですから、毎朝きちんと補うことが大切。ビタミンCの効果を高めてくれるビタミンEと一緒に、積極的に 積ることが予防にも治癒にもつながります。

B(カブレなど、炎症が原因のシミ)
・湿疹のあとが色素沈着してできたシミについては、まず炎症を繰り返さないように注意することが大切です。 肌のバリア機能も衰えがちですから、肌が乾燥しないように潤い補給に気をつけ、本来の回復力を助けるよ うなスキンケアを心掛けましょう。

C(先天性の、シミに見えてそうでないもの)
・母斑そのものはレーザー治療を根気よく受けるか、面積がさほど大きくない場合はファンデーションなどで カバーします。この場合メイクが濃くなりがちですが、気になる部分にタイプの異なる2種類以上のファンデ ーションを重ねてつけると、厚くならずに上手に隠せます。
・スキンケアは肌質に合わせて丁寧に行い、コンディションを崩さないように心掛けてください。
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●開発者紹介> 三谷てるみ | 美肌学